起業の方法の一つとして、フランチャイズ加盟するという方法があります。フランチャイズというと、コンビニや飲食などがよく知られていますが、他にも不動産業、自動車関連、学習塾、美容関連、福祉関連、リフォーム業など様々な業態に存在しています。

そこで、起業する際にフランチャイズ加盟する方法が有効なのかどうか考えてみようと思います。

フランチャイズはブランドを開発し、ノウハウを提供する本部(フランチャイザー)とそれらを受けて事業を展開することで、ロイヤリティーを支払う加盟店(フランチャイジー)から成り立ちます。フランチャイズを利用して起業するということは、フランチャイジーになるという意味です。

余談ですが、フランチャイザーとフランチャイジーがややこしくてどっちがどっちかわからなくなりがちですが「ざじずぜぞ」の上に来るのが本部で下が加盟店と覚えると、どっちがフランチャイザーでどっちがフランチャイジーかわかります。

フランチャイズ契約によるトラブルがニュースになることもありますが、実際にはフランチャイザーとして複数の店舗を展開していく企業も多く存在しますし、起業をする上での手法としては悪いものではありません。

ただ、自分の好きなようにできる方法ではありません。起業するというと自由なイメージがありますが、フランチャイズを活用する場合は制約も出てきます。

ブランドを守る必要がある

フランチャイジーが開発したブランドを守る必要があります。

世の中にはたくさんのフランチャイズ経営のお店が存在しますが、ブランド名ではなく、そのフランチャイジーである会社名が表に出ていることはあまりありません。自分の名前ではなく、ブランド名を使って商売をするからです。

ただ、例外もあって、不動産業のセンチュリー21やアパマンショップなどの入口をよく見ると、小さな字で「株式会社○○」って書いてあったりします。不動産業の場合は宅建業法で商号を掲示しないといけないので、フランチャイズのブランド名である「センチュリー21」や「アパマンショップ」と商号が併記されているのです。飲食店などはそういう法律の規制はないので、フランチャイズで運営されていても、会社名などが入口にあることはほぼありません。

フランチャイズ契約ではブランド名を使って事業を行うので、ブランドのイメージを壊さないようにしないといけません。飲食店であれば、店舗の内装、メニュー、制服、言葉遣いなど、フランチャイジーから指定されたものを徹底する必要があります。フランチャイジーからスーパーバイザーが派遣されて、ブランドが守られているかどうか、取り組みが徹底されているかどうかなどがチェックされます。

自分の思い通りにするというよりも、フランチャイジーからの指示を徹底していくということが仕事になることもあります。

しかし、逆に言えば自分でブランドを一から立ち上げる必要はなく、すでにあるブランドを利用することによって利益を上げていくことが可能です。店舗の立地や人の配置(人件費のコントロール)が重要になってくると言えます。

ロイヤリティーの支払がある

ロイヤリティーは加盟店(フランチャイジー)が本部(フランチャイザー)に支払うお金です。金額の決定方法はいくつかあります。

  • 粗利益分配方式:フランチャイジーの粗利益×○○%
  • 売上歩合方式:フランチャイジーの売上×○○%
  • 定額方式:毎月固定金額

コンビニなどは粗利益分配方式が多いようですが、最も多い形態は売上歩合方式です。フランチャイザーが一番儲かる仕組みだからです。売上歩合方式の場合は利益が出なくても、ロイヤリティーが発生します。また、売上の金額が増えれば増えるほど支払うロイヤリティーの金額も高くなります。

ロイヤリティーだけ比較すれば、定額方式が一番いいです。ただし、加盟を決めるにはブランドや本部の協力体制など他の要素もありますので、一概にロイヤリティーだけで選ぶのが賢い方法とは言えません。

ノウハウを学べる

フランチャイズ加盟店募集のチラシなどを見ていると「未経験でもOK!」と書かれていたりします。未経験であっても教育を受けて経営ができるようになるというノウハウが充実していることも多いようです。フランチャイザーからしてみれば、フランチャイジーが育ち、たくさんの利益を出すことで自分たちも成長できるわけです。そのための教育制度や研修制度に力を入れるのはある意味では当然ですね。

自力で起業するとなると、こうしたノウハウは自分で探して研修を受けるか、経験を積んでいくことで身につけていかなければなりません。手探りで進んでいかないといけなかったり、行き当たりばったりになってしまうこともあります。

フランチャイズ加盟をすることで、起業後の道筋がある程度見えてくるということは大きなメリットと言えるでしょう。

まとめ:本部を頼りながらも自立できるかがポイント

フランチャイズ加盟して起業する場合、フランチャイザーにいろいろ任せれば何とかしてくれると考えてしまう人もいますが実際は違います。それなら誰がやってもうまくいくはずですが、実際はうまくいく人といかない人がいます。

また、フランチャイズ契約自体も本部が上で、加盟店が下と考えられがちですが、これも違います。フランチャイザーとフランチャイジーはどちらが上とかしたというものではなく、対等な共存関係なのです。

最近だと某コンビニエンスストアの加盟店を集めた会議で、スーパーバイザーの不正を告発しようとしたフランチャイジーが発言ができずに退席させられたというニュースがありました。こういうことはあってはならないと思います。

フランチャイジー側はブランドを使用させてもらったり、仕入を本部でしたもらったり、教育を受けさせてもらったりするので、フランチャイザーに依存しがちになりますが、自立した気持ちが無ければ事業がうまくいくはずはありません。起業家として、本部をうまく使ってやるくらいの意気込みで取り組んでいくことができれば、成功もつかめるのではないでしょうか。