起業する時、あるいは経営において新規事業への進出を図る際に外部環境の分析は不可欠です。
特に、マクロな外部環境は自分の力でコントロールできることはほとんどありません。自分のビジネスを始めるにあたって、タイミングを見定める上で外部環境の分析ができていなければ、どうすることもできずに廃業、撤退ということもありえます。
運のせいにする人もいますが、僕から言わせれば、準備不足です。起業や新規事業への参入を図るのであれば、しっかりと外部分析をしましょう。マクロな外部環境の分析をする際によく使われるフレームワークがPEST分析です。
Pーポリティクス
Pは政治的な要因です。政権交代、政策転換、法改正などの要因のことを指します。規制緩和や規制強化がビジネスに影響をあたえることはよくあります。規制緩和のタイミングでいち早く事業に参入できれば成功する確率も上がるでしょう。
タクシーの規制緩和があった時に、異業種からの参入が話題になりました。最近では売電事業が政治的な要因で伸びています。
派遣業や福祉関連事業など法改正などの動きで影響を受け、雇用の問題と合わせてニュースになることが多いです。こうした事業は政治的な要因を注視しながら経営していく必要があると言えます。
Eーエコノミクス
Eは経済的な要因です。世の中の景気動向、物価指数、経済成長率、失業率などが要因となります。
御存知の通り、景気の善し悪しでビジネスは影響を受けます。ただ、景気が良ければすべてがいいというわけではなく、不況の時のほうがいいビジネスもあります。
昨今の景気回復傾向の中では、いわゆるデフレ型のビジネスモデルを展開したところは調子がよくありません。別の要因も考えられますが、低価格が魅力だったファストフードなどが落ち込んでいるのにはこうした理由も挙げられます。
起業する際や新規事業への参入を図るのであれば、経済的な要因の分析も必須です。景気が良くなっている時代では、高単価高付加価値のビジネスなどが注目されるのです。
Sーソサエティ
Sは社会的な要因です。人口、文化、教育、ライフスタイルの変化などの要因のことです。
高齢社会になれば、介護やお年寄り向けのビジネスが多くなります。子供の多いエリアでは保育園や託児所が多くなったりします。若い人に自動車やバイクが売れなくなっているというニュースがありました。これはライフスタイルの変化によるものでしょう。
トレンドを上手く抑えて起業したり、新規事業への参入を図るためには社会的な要因の分析が必須となるわけです。
Tーテクノロジー
Tは技術的な要因です。近年ではインターネットの普及により技術的な要因が大きく変わってきています。また、様々な部品のモジュール化が進んでおり、それらを組み合わせることで、新たな製品を生み出すことができるようになっています。
例えば、アップルの製品は他社で作られたパーツを組み合わせて出来上がっています。今ある技術を組み合わせて、新たな価値を生み出しているのです。
他社にはまだ知られていない新たな技術をいち早く導入して画期的な製品を生み出すことができれば、事業が成功する可能性は高くなります。
ただし、技術革新のスピートがとても早くなっていることも忘れてはいけません。新たな技術で既存の技術が滅ぼされていることも多々あります。常に技術的な要因には目を光らせ、新規性のある事業に取り組んでいくことなどが求められます。
まとめ
「思いついたら吉日」という言葉がありますが、すぐに何とかしようと思わずに、一歩とどまってしっかりとPEST分析することも重要です。分析の結果、今はタイミングでないことが判明するかもしれません。
その場合は、無理をせずに気が熟すのを待つというのも必要です。無理して飛び込んで失敗しては元も子もありませんから。